長野テクトロン株式会社
公開日:2024年2月19日
「環境に優しいものづくり」の理念と活動を全員で共有し、節電を全社員当たり前の習慣に
長野テクトロンは、「環境に優しい入力装置づくり」を基本理念に、ゴミの廃棄量削減や環境負荷の低い製品作りを推進している入力装置・表示パネルの製造企業です。
地球温暖化対策に配慮した事業活動を行っている企業に与えられる「ながのエコ・サークル」や、SDGsに取り組んでいる企業に与えられる「長野県SDGs推進企業」に認定されるなど、積極的に環境保全活動に取り組んでいます。
また、環境保全活動のほか地域の社会貢献活動・社員の子育て応援宣言・職場環境改善宣言にも取り組んでいる、環境にも人にも優しいモノ作り企業です。
お話を伺った人 -INTERVIEW-
長野テクトロン株式会社 代表取締役 柳澤 由英さん
長野テクトロンは、電力消費や資材の削減に向け、デマンド監視装置の導入や製品設計の最適化など、さまざまな取り組みを実践しています。これに加え、環境保全活動における会社の取り組みは、トップダウンではなく、全社員が参加し、成果を共有することで推進されています。この取り組みにより、社員一人一人が積極的に温暖化対策や環境保全に取り組む雰囲気が醸成されています。
今回、長野テクトロンの代表取締役である柳沢由英氏と管理部副部長である倉科裕紀氏に、省エネや地球温暖化対策への取り組み、そして社員が環境保全活動に積極的に参加するためのコツについてお話を伺いました。
環境保全や省エネ、地球温暖化対策に取り組まれたきっかけは何でしょうか?
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長野テクトロンでは「環境に優しい入力装置づくり」を基本理念とし、「エネルギー資源の利用効率の向上」「CO2排出抑制・削減および各段階で排出される廃棄物の削減および再利用」を行動指針に掲げています。このため、当社は長年にわたり「環境に優しいモノづくり」に取り組み、環境保全活動を積極的に推進してきました。
最近では、社会的責任を果たす観点からISO14000に基づいた廃棄物削減計画を進めてきました。長野県版のSDGsが大きな意義を持つと考え、当社ではその中から「廃棄物の削減」と「環境に優しいモノづくり」に焦点を当て、環境保全活動に一層力を注いでいます。
環境への取組として、CO2排出の抑制と廃棄物の削減に関する具体的な取り組みの内容や工夫について教えてください
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当社では基本理念や行動指針、ながのエコ・サークルシルバーランク認定証、長野県版のSDGs環境宣言などを、全社員が視認できる場所に掲示しています。環境への取り組みは、経営陣や管理者の活動だけでは充分な意義を持ちません。具体的な取り組みは社員が行うものであり、その効果を最大限に引き出すためには全員の参加が欠かせません。そのため、成果や効果を全社員が確認できる場所に掲示し、環境への意識や取り組みを共有することを重視しています。
意識を共有することで、社員から協力を得やすくなるだけでなく、会社が新たな取り組みを行う際にも理解を得ることが容易になります。例えば、以前、社内の照明をすべて消費電力の少ないLED照明に交換しました。この際、LED照明に変更することで作業に影響が出るのではないかという懸念がありましたが、結果的に現場からの苦情はありませんでした。なぜなら、現場の社員たちはLED照明による利点や意義を理解し、それぞれが適切な方法で対応してくれたからです。
取組の実施、設備や装置導入によって得られた効果や、社内の意識変化などについてお聞かせください
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環境に優しい設備の導入や節電アクションは重要ですが、それ以上にデマンド監視装置の導入や全社員の積極的な参加が大きな効果をもたらすと考えています。個々の取り組みは小さくとも、積み重ねれば大きな節電や省エネにつながり、年間を通じた効果は決して小さくありません。このような意識が定着すれば、管理者の介入が必要なく社内の習慣として持続し、長期的な効果が期待できます。
また、デマンド監視装置による電気使用量のピークカットは、電気料金の大幅な削減にもつながり、経営面においても大きなプラスとなっています。この効果は単に電気料金の節約だけでなく、電力消費のピークを意識して生産を効率化し、結果としてモノ作りの効率化につながります。その結果、より大きな利益として返ってきています。
温暖化対策や環境保全活動に対する今後の方針、具体的な取り組みの予定についてお聞かせください
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当社では、環境負荷の削減や環境に配慮した製品づくりを着実に推進し、設定した目標に向けて着実に前進しています。その一環として、現在は太陽光発電の導入を検討しています。
「自家消費」として太陽光発電を活用することで、さらなる節電効果が期待できると考えています。今後も、環境への取り組みを継続し、同時に限られたリソースの中で環境に配慮した高品質な製品を提供することで、環境への貢献とお客様への価値提供を両立させる「付加価値の高い製品づくり」を目指して参ります。
今後、省エネや地球温暖化対策に取り組む企業や施設に対して、メッセージをお願いします
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環境に関する取り組みは、現場からは理解されにくいことがあり、単に上からのトップダウンではなかなか浸透しないことがあります。そのため、「活動の理由・効果・結果を全社員にしっかりと伝え、全員を巻き込む」ことが非常に重要だと考えます。社員全員が参加し、最終的には社員自身が主導して進める形が理想です。
全員を巻き込むことで、活動に対する理解を深めやすくなり、次の環境保全活動へスムーズに進むことが可能となります。また、問題や課題に直面した際も、皆で話し合うことで良いアイディアが生まれます。トップや管理者の役割は、まず、全員を巻き込むこと、そして、社員が主導となったらその活動を受け止め、さらに大きな活動へと広げることだと考えています。
この繰り返しは大きな環境保全活動につながり、それが会社にとってコストダウンの形で還元されます。省エネや温暖化対策の活動は一度始めると本当に楽しく、やりがいがある活動となります。
お話を伺った人 -INTERVIEW-
長野テクトロン株式会社 管理部副部長 倉科 裕紀 さん
現場を管理する管理部では、環境保全活動に積極的に取り組んでいます。管理部の倉科副部長に、具体的な取り組み内容やその成果について伺いました。
環境保全への取組みについて、具体的な例を挙げていただけますか?
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当社は、製品の開発段階から環境への配慮を最優先に考えております。そのため、環境にやさしい素材を選定することに注力し、「不良品や余剰部材の発生を最小限に抑える設計」にも力を入れ、製造プロセスにおける廃棄物の最小化に努めております。さらに、日々の電力消費を管理するために、デマンド監視装置を導入し、必要に応じてアラームで通知することで電力の利用を効率的に管理し、環境への配慮だけでなく、ピークタイムの電力使用量を管理することで、電力料金の最適化も目指しております。
その対策として、当社では、デマンド監視装置を積極的に活用し、電力使用量の効率的な管理を実施しています。万一アラームが鳴った場合は、迅速に社内と連携し、エアコンなどの電力使用量を最適化するための調整を行っています。さらに、定期的に全社員に表示される電力使用量を周知することで、全員が電力使用に対する意識を高め、無駄な使用を防ぐよう働きかけています。
現場の従業員が電力使用量や節電効果を理解しにくいという課題に対処するため、当社では具体的な電力使用量の数値を定期的に公開し、節電の実績を透明化しています。これにより、従業員が実際の節電効果を目の当たりにし、その重要性を実感できます。この取り組みは、従業員全体が積極的に節電に協力し、より効果的なエネルギー管理を実現するための一環です。
社員が積極的に環境保全活動に参加するようになった要因は何ですか?具体的な取り組みや啓発活動はありますか?
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デマンド監視装置の導入により、従来は漠然としていた節電効果や省エネ設備の効果が、具体的な数値で把握できるようになりました。これにより、電力使用量の管理や節電対策が容易になりました。さらに、節電効果が具体的に理解しやすくなったことで、従業員自身が積極的な行動を起こすようになりました。その結果、エアコンの設定温度を少し下げるなどの行動が増え、環境保全活動への参加意欲が高まっています。
当社が推進している環境保全活動に対して、従業員の間では「環境のために」という意識が定着し、「社内の常識」として受け入れられております。現在では、管理層だけでなく現場からも、より効果的な電力や部材の節約に向けたアイディアが積極的に提案されるようになっております。
持続可能なビジネスモデルの構築に向けて、今後の展望や具体的な戦略はどのようにお考えですか?
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当社では、自社での太陽光発電をはじめとする自家消費用エネルギーの導入に加え、購入するエネルギーも太陽光発電や水力発電などの「エコエネルギー」へ積極的に切り替える取り組みを検討しています。当社の事業は電力に強く依存しておりますが、その電力源を環境に配慮したエネルギーに切り替えることで、環境負荷を大幅に軽減することが可能です。
エコエネルギーは一般的な電力会社よりも導入に伴うコストが高くなる可能性がありますが、その代わりに、お客様に対して独自の付加価値や強みを提供できると考えています。この取り組みにより、当社は環境保全への貢献だけでなく、お客様への価値提供も強化し、持続可能なビジネスモデルの構築を目指しています。
今後、省エネや地球温暖化対策に取り組む企業や施設に対して、メッセージをお願いします
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環境保全活動に取り組む際、手探り状態で何から始めればよいか分からない方もいらっしゃると思いますが、その場合は他社の取り組みも参考になります。新聞やテレビなどで他社の活動やアイディアを知ったら、それを即座に「わが社でも実現できないだろうか?」と考えてみてください。当社も環境保全活動に限らず、常にさまざまなアイディアに耳を傾け、良い事例を見つけたら積極的に取り入れています。
良いアイディアを見つけた際には、「まずは試してみる」こと、そして「効果があれば続ける」ことが重要です。結果や効果の大小にこだわる必要はありません。結果は後からついてくるものであり、試してみることで得られる学びも大切です。「これなら環境に良いのではないか」と思ったら、まずは実践してみてください。そして、効果があれば続けてみてください。
地球温暖化対策や環境保全というと、一見ハードルが高く感じるかもしれませんが、実際には簡単にできることもたくさんありますし、取り組み始めればそれほど難しいことではありません。結果を気にせず、行動に移してみてください。その取り組みが環境に貢献する一歩になるはずです。