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林業笠原造園

公開日:2022年4月1日

植物を育てるように、地道にこつこつ。
緑を愛する造園業の職人さんたちの環境保全活動。

 国営公園から道路の街路樹、個人宅の庭までさまざまな場所の植物の管理を行うのが長野市市場に本社を構える林業笠原造園です。現在は正社員45名で、その大半が現場で作業を行う職人さんたち。中には樹木医2名や昆虫に詳しい職人もいて、緑が好きという人たちが中心です。生きものを相手にする業種だからこそ、環境に対しての意識も高く、平成21年には「エコアクション21」を取得し、平成25年には「ながのエコ・サークル ゴールド・ランク」を取得。平成31年には、株式会社トレドより営業譲渡を受け、従来の造園事業を大きく拡充しました。自らのスタイルにあった活動方法を模索するとともに、「造園業」「エクステリア事業」ならではの立場からも自然と向き合い、様々な取り組みを行っています

長野市市場の本社

お話を伺った人 -INTERVIEW-

営業部企画開発課 課長 小山 晃さん

 はじめは手探り状態で身近なことから環境保全活動をはじめたという林業笠原造園。「ながのエコ・サークル ゴールド・ランク」を取得するまでの経緯や効果、現在の課題について、会社の中心となって活動を推進している営業部企画開発課の小山課長に伺いました。

営業部企画開発課 課長 小山 晃

林業笠原造園が環境保全や省エネ、地球温暖化対策に取り組まれたきっかけは何ですか?

 当社は造園会社ということもあり、日頃から植物に触れる機会が多いので、もともと環境に対する意識は一般の企業より高かったと思います。例えば、国営アルプスあづみの公園の工事を受注する際も、工事着手前に稀少な植物の分布を調査し、移植を行うなどの活動を積極的に行っていました。そんな取り組みをより仕事に活かし、入札上のアドバンテージにしようと平成21年9月に環境省の「エコアクション21」を取得したんです。
 実は当初は業界内でISOが流行っていたこともあり、ISOの取得からはじめたんです。しかし書類管理や費用面が大変で、とても負担が大きかった。そこで小さな会社でも維持しやすいという点からエコアクション21に切り替えたんです。いまは、エコアクション21で定めた目標をベースに取り組みをしています。

環境保全や地球温暖化対策について、具体的にはどのようなことに取り組んでいますか?

 最初は、電気をまめに消したり、冷暖房の温度を設定したり、節水に気をつけたりと身近なことから始めました。ちょっとしたラベルをスイッチや蛇口の近くに貼っておくだけでも効果がありますね。電気をつけっぱなしにして出かけるということがずいぶん減った気がします。次に、データを取るということを意識して行うようにしました。例えば「車両運行管理簿」として、車の使用者と給油量の記入を徹底したり、配車計画では乗り合わせを意識して行うことで余分な車両の稼働を減らして燃料使用量を抑えることができました。ゴミに関しても、種類別に重さを量ってから捨てるようにしているんです。データを細かく記録することで数値的にも状況を知ることができ、従業員の意識も高まっていると思います。
 このほかにも、現場での工法や資材に環境に配慮したものを積極的に活用しています。例えば、エクステリアショップのトレドでは、ヒートアイランド現象の緩和が期待できる100%リサイクル素材のテコラを使用したり、消毒散布に頼らないアメリカシロヒトリの防除剤「ニトルアー・アメシロ」を提案しています。また、照明負荷の軽減のため、使用頻度の高い場所からLED化をしたり、タスクアンビエントを進めるため、引き紐スイッチ付きの照明器具への交換を実施しています。

POPをつくり「使わないときは電源を切る」を意識。照明器具は個別に制御できる紐付きモデルに。
パソコンは消費電力の少ない物を採用し、モニター電源OFF→スリープ→休止状態となるよう設定。
職人さんが自発的に、冬期の霜取り用の暖機運転を減らすために、夜間はブルーシートを窓に設置。
ゴミは種類別に廃棄物の量を「排出記録表」に記録。数値を細かくとることで意識が高まります。
エクステリアショップのトレドでは薪ストーブを導入し、冬季間の暖房負荷の低減をしています。
消毒に頼らないアメシロ防除剤「ニトルアー・アメシロ」。消毒散布による環境負荷を軽減。
廃瓦をリサイクルしたテコラは、耐久性にも優れ、どんな庭にもマッチします。
使用頻度の高い場所を優先的にLED照明へ転換。引き紐スイッチでタスクアンビエント化。

ほかにも、造園業ならではの環境に対する取り組みなどはありますか?

 もともと当社は職人集団という事もあり、それぞれの経験値は高かったのですが、意外と情報が共有されていない部分も多かったんです。そこで環境保全活動の取り組みを機にルールをつくり、情報共有や技術共有の場として月に1回の勉強会を実施することにしました。社内には樹木医や昆虫に詳しい職人さんもいるので、講師も従業員。環境や植物、安全など、その時に必要なテーマを定めて開催しているんですよ。
 また現場作業がほとんどのため、朝は7時半頃に出かけ帰りは17時頃という職人さんが大半。できるだけ負担をかけ過ぎず、大勢が参加できるよう毎月、第1土曜日が「勉強会の日」と日程を固定。無理強いをして環境活動に取り組むのではなく、現状に半歩プラスするようなイメージで極力負担をなくし、楽しんで長く続けられることを常に意識していますね。

毎月、第1土曜日は「勉強会の日」。従業員が講師になってさまざまな知識を高めています。
造園業として地域の珍しい植物を守るためにどんな対策ができるかなど、現場で検証も行います。
特定の昆虫がいることで、その地域の環境サイクルが保たれることもあり、造園は奥が深い世界。
ぎっしり詰まった過去の勉強会の資料。「樹木医と歩く自然観察会」など多彩なテーマを実施。

環境保全活動や省エネに取り組み、どのような結果が出ていますか?

 日々の地道な活動で、無駄をなくし環境に対する意識も向上しています。その結果として平成25年には「ながのエコ・サークル ゴールド・ランク」も取得できました。また勉強会などを通して知識を高め、環境保全の重要さを学ぶことは、同時に造園業の素晴らしさを改めて実感し、自分たちの仕事に誇りを持てるきっかけにもなったと思います。
 一方で、当社の場合は作業現場が近隣のときもあれば、遠隔地の場合もあり、内容もさまざま。また剪定枝や刈草などの一般廃棄物や工事現場から発生する廃棄物は造園業を行う上で確実に排出されるものなので、一概に削減対象にはならず、対前年比などの数値目標を定めにくいという課題も見つかってきました。今後は独自の評価基準を定めていくことがより効果的な活動になるという、次の課題も見つかっています。


エコアクション21を機に平成25年10月には「ながのエコ・サークル ゴールド・ランク」を取得。

これから省エネや地球温暖化対策に取り組む企業に対して、アドバイスがあれば教えてください。

 取り組みをはじめるに当たっては、経営者の意識が最も重要だと思います。当社の場合は、企業風土もありますが、経営者の関心度や理解がきちんとあったからこそ、業務として取り組める体制ができたと言えます。また一方で、「苦痛でなく楽しめる」「難しくなく簡単」「現状の仕組みを改善してできる」など、ハードルを上げ過ぎないこともポイントです。気軽にできる取り組みは、すぐに大きな結果が出ないかもしれませんが、日々の地道な積み重ねこそが、環境意識を浸透させ醸成させて、次のステップアップにつながると思います。

生きものは見た目だけを繕ったり、無理をさせると死んでしまうこともある。常に長い目で生きていける環境を整えていくのが私たちの仕事だと語る、林業笠原造園。その想いが「無理せず、楽しみながら続ける」といった自分たちの環境保全活動にも表れています。そんな地道な活動は、植物が生長するように、いずれ大きな効果を生む予感を感じさせます。

 

【長野市地球温暖化防止活動推進センターから】

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