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公益財団法人倉石地域振興財団 栗田病院

公開日:2025年10月14日

GHG排出量可視化でカーボンニュートラル実現へ!人と環境に優しい病院を目指して

栗田病院では、国の目標である「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、2023年からGHG(温室効果ガスの総称)排出量の削減に取り組んでいます。またGHG排出量を可視化できるシステムを導入し、現状を正確に把握することから始めました。そして、可視化したデータをもとに排出量の多い活動に対し効果的な対策を実施しています。さらに、環境保全活動の成果は総合案内の液晶ディスプレイでも見られるように公開し、病院全体で環境保全へ取り組みと意識を高められるよう工夫しています。働く人や患者さんはもちろん、地球環境にも配慮した優しさの溢れる病院です。

栗田病院

お話を伺った人 -INTERVIEW-

事業管理室 防災営繕課長 藤田信さん

栗田病院では、院内のCO₂排出量を正確に把握するため、GHG排出量を数値で可視化できるシステムを導入しました。その結果をもとに、院内の空調制御を行い管理するなど効果的な対策を行っております。太陽光発電システムの導入や昼間の明るい時間帯では必要のない場所の照明は消すといった基本的なアクションも行い、24時間365日稼働している病院では高い効果が期待できます。今回GHG排出量に見える化をはじめ、さまざまな環境保全活動の取組みを行っている、栗田病院の事業管理室 防災営繕課長 藤田 信さんに詳しいお話をお伺いしました。

事業管理室 防災営繕課長 藤田信

栗田病院様が環境保全や省エネ、地球温暖化対策にとり組まれたきっかけはなんでしょうか?

2050年のカーボンニュートラルを目標に掲げる中、2023年に長野県でも長野地域脱炭素実現推進協議会が設立され、その年に当院も入会させて頂きました。脱炭素経営や企業価値の向上を目指す地域企業をはじめ、自治体や大学なども連携して地域全体に発信させるためこれまで多くのセミナーや講習会にも参加しました。その中で、脱炭素化を目指す組織の一企業として、脱炭素化や温暖化について真剣に考え、具体的な行動を起こさなければという思いが芽生えたのが、地球温暖化対策や省エネに取り組み始めたきっかけになります。
また、地球環境以外でも、当院は今年2月に新病棟も稼働し、病院規模の拡大と24時間365日稼働している中で、光熱費が経営上の大きな問題となっております。CO₂排出量の削減や省エネ対策の取組みと活動によって、光熱費も削減出来ればという思いもありました。


総合案内板の液晶パネル
太陽光発電システム 発電電力
太陽光発電システム 発電電力量の推移

栗田病院様では、「GHG(温室効果ガスの総称)排出量の見える化」に取り組んでいるとお伺いしましたが、具体的な取り組み内容や工夫について教えてください

当院では、GHGの一種であるCO₂を排出するエネルギーとして、電気・ガス・燃料(灯油)を使用しており、このエネルギーによるGHG排出量を数値やグラフで可視化できるシステムを2023年に導入しました。GHG排出量の算出により、一番の課題となっているのが排出量の半数以上を占めている電気によるCO₂排出でした。そのため、まずは必要性の低い場所の照明や空調など、こまめに消すといった基本的な節電対策に取り組んでいます。また体育館の屋根には、電気代やCO₂削減などの対策として、太陽光発電システムも設置しています。

2つ目の取り組みは、空調制御です。エアコンの温度設定は消費電力にも大きく影響します。
新病棟では、エアコン集中リモコンで各エリアの設定温度範囲を一律に設定できるため、過度な温度設定を制御して消費電力の削減を行っています。その他にも、節電や節水の取り組みを促す掲示物を各部署に配布し、一人一人の意識向上も図っていますが、まだ院内全体に意識が完全に浸透しているとは言えません。今後、更に環境問題や脱炭素に関する情報を病院全体に共有し、関心を持ってもらうための工夫が必要であると思っています。


節電中の日中の廊下
節電中の日中の廊下
アトリウム
アトリウム(照明点灯の間引き)

取組の実施によって得られた効果や、社内の意識変化などについてお聞かせください

当院では、空調制御や節電アクションの呼びかけ、太陽光発電システムの設置など、さまざまな取組みを行っていますが、現時点で大きな効果が得られているとは言えません。節電や省エネ活動に関する情報の発信や共有が足りていない点や全体の意識をどのように統一させるかが難しい部分でもあり、今後の課題とも感じていますが病院全体で何かアクションを起こすという方向に向かっているのは、確実に感じています。また、毎月の光熱費の報告や見える化による具体的な数値やデータをもとに対策を検討する場もあります。こうした情報や対策をさらに病院全体に共有させることで、もっと院内の雰囲気も変わっていくと思います。今は小さな取り組みの積み重ねですが、全体の意識が高まればより大きな成果に繋がること期待しています。

空調制御システムモニタ
照明制御システムモニタ
節電を呼びかける掲示物

温暖化対策や環境保全活動に対する栗田病院様の今後の方針、具体的な取り組みの予定についてお聞かせください

今後もGHG排出量のデータ収集と削減に関する取り組みは続けて行っていきます。その中で、基本的な節電・省エネ活動の推進はもちろん、太陽光発電やその他、環境に配慮した省エネ設備の導入も検討していければと思っています。現在、電気使用量の割合の多くを占めているものが空調になります。
空調の室外機の稼働を制御して消費電力を削減する空調に特化した節電・省エネシステムの導入と集中リモコンの一括管理と併用すれば、より高い節電効果が見込めると思います。ただ、設備投資に掛かる費用と効果を見極めながら導入を検討していきたいと考えています。また、新病棟に導入されているガスコージェネレーションシステムも稼働させながら、施設内での電力発電と供給によって、電力負荷の抑制と電気料金の削減も行っております。


ヤンマーCP35D2(ガスコージェネレーションシステム)
太陽光発電システム
太陽光発電システム

今後、省エネや地球温暖化対策に取り組む企業や施設に対して、メッセージをお願いします

今、ニュースでもSDGsやカーボンニュートラルに関する情報が多く報道されています。また、イベント会場でも積極的に環境問題への取り組みや活動も多く見るようなりました。そのため、今後ますますSDGsやGHG排出量の削減が求められる時代になると思います。ただ、まだ温暖化対策や環境保全に対して関心が持てない人やハードルが高く感じて行動に移せないという企業も多いのではないでしょうか。ですが、決して難しいことでありません。
照明をこまめに消すことや空調の設定温度を1℃緩和するといった簡単なことから始めてみませんか?
当院も基本的な小さなことから始めています。まずはどんな小さなことからでも始めてみること、そして情報やアクションを皆と共有しながら取り組みを通じて一人一人の意識が変化していくものだと思います。この取り組みの紹介によって、何かアクションを起こすきっかけになってもらえたらと思います。

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