株式会社アピアランス
公開日:2025年2月25日
こども服の回収と譲渡を通じ、次世代に優しい世の中を育む
アピアランスは、長野市・上田市・佐久市に店舗を展開しているクリーニング店「APA(アピア)」を運営する、ホームクリーニングおよび企業のユニフォームクリーニング事業、施設ご利用者の洗濯を代行する事業を行っている企業です。『服を長く大切に着る』クリーニングは、SDGsとの親和性が高い事業ですが、アピアランスではそれにとどまらず、不要になったこども服の回収・譲渡や、店舗・工場への太陽光パネルを設置など、さまざまな環境活動に取り組んでいます。アピアランスは、捨てられる洋服を1枚でも多く減らそうと、日々さまざまな取り組みを行っている企業です。

お話を伺った人 -INTERVIEW-
株式会社アピアランス 総務部 矢口学さん
株式会社アピアランスでは、以前より環境負荷低減のために工場や店舗に太陽光パネルを設置していますが、さらに2024年(令和6年)より、新たにこども服の無料回収と譲渡会の開催を開始しました。日本では年間50万トン以上もの洋服が廃棄されていますが、アピアランスではクリーニングや回収・譲渡を通じて洋服の廃棄量を減らし、環境負荷の低減を図っています。今回、総務部の矢口学様に環境保全活動を始めたきっかけやその経緯、活動を無理なく進めるための工夫についてお伺いしました。

アピアランス様がゼロカーボン活動やこども服回収活動に取り組み始めたきっかけは何でしょうか?
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数年前からニュースや紙面などでよくSDGsの文言を見かけるようになり、企業としてはこれまで以上に省エネやSDGs活動を推進していく必要があるのではないかと考えておりました。そこでまずはできることからと、川合工場の屋根に太陽光パネルを設置しました。太陽光パネルの設置は、省エネだけではなくコロナ禍によるホームクリーニングの売上減少や、ウクライナ戦争による電気代の高騰を補うための節約にもなります。太陽光パネルで電力を発電し、余った電気を「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」を利用して売電することで、環境負荷の低減と電気代の節約が両立できるのではとの考えからです。この太陽光パネルの設置をきっかけに、もっと多くの人たちのためになる活動、特に地域貢献やサステナビリティの観点からできる活動はないか、そしてその活動を通じてもっと「皆様に選ばれる店舗」になる方法はないか模索し始めました。そんな折、クリーニング業界向けの新聞を発行しているゼンドラ株式会社様の新聞の中で、たまたまこども服のリサイクルに関する記事を発見しました。必要なくなった洋服を必要な人へ譲渡する活動は、洋服への愛に溢れた素晴らしい、そして面白い活動だと感じたため、記事を見てすぐに推進協議会に問い合わせ、活動に参加させていただきました。
川合工場 太陽光パネル 川合工場 太陽光パネル クリーニングアピア川合店
こども服の回収方法や譲渡会の運営方法などで工夫されている点を教えてください。
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基本的な回収は、主にアピアの全店舗に設置している回収BOXで行っていて、クリーニングのついでに不要になった洋服を持ってきていただき、回収BOXに入れてもらうのが狙いです。回収した衣類は、ゼンドラ様が開催している譲渡会や当社独自で行っている譲渡会を通して皆様にお渡ししています。去年6月には、エムウェーブで行われたイベント「大人の文化祭」に出展し、ミニ譲渡会と無料回収を開催させていただきました。その他の活動を続ける上での大きな工夫としては、他企業と一緒に活動を行っている点ですね。例えば、回収・譲渡を主催しているゼンドラ様は実店舗を持っていないため、回収は店舗を持つ当社が行い、イベントの企画や回収した服の一部の引き取りをゼンドラ様にお願いするといったように、それぞれの企業の強みを持ち寄ったり、足りない部分を補い合ったりして協力しながら活動を続けています。
各店舗に設置してある回収BOX 回収BOX 回収BOX
こども服の回収・カーボンゼロへの取り組みを行った結果、どのような効果がありましたでしょうか。
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不要になった服を回収し、それを必要とする方に渡すことで新しく洋服を買わずに済みますので、この時点で少なからず環境保全に貢献できていると思います。また、実際に回収BOXや譲渡会を利用した方からの評判も上々です。こども服は、大人の洋服と違い「いずれ着る・いずれ使う」ということはあまりありません。ですが、こども服には思い入れもありますし、また昨今はブランドのこども服を買う方も増えているので、なかなか捨てるという選択が難しいそうです。その場合、「ただ捨てるのではなく、できれば誰かに使ってもらいたい」という思いを持っている方が多く、そういった方に回収BOXは非常に喜ばれています。また、大人の文化祭で行った回収やミニ譲渡会では、多くの方に興味を持っていただき、回収・譲渡活動や当社の事業をPRできました。来場いただいた一般の方からの反響はある程度想定していましたが、意外だったのはそこに出展している企業様からの反響もありまして、「回収事業に興味がある」「うちにも回収してほしいものがある」といったお声がけをたくさんいただき、今後の回収・譲渡活動を続けていくための自信や手ごたえを感じました。
社用車
現在活動している中での課題や、今後の課題などはございますか?
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今後の課題は、いかにしてより多くの人に興味を持ってもらえる企画を立てるかです。というのも、回収や譲渡会の活動は会社の直接的な利益にはなりません。ですが、より多くの方にこの活動に興味を持ってもらえれば、環境保全への貢献だけではなく、当社の認知度向上やイメージアップなどのPR効果や、それに伴うクリーニング事業の売上拡大といった会社のメリットにもつながっていくはずだと考えています。状態の悪い服の再利用方法も大きな課題です。回収した服の多くは綺麗でとても状態が良く、そのまま譲渡会でお渡しできるものが多いのですが、やはり一定数極端に汚れている服や破れている服など、譲渡に適さない服も回収に含まれてしまいます。この状態の悪い服を再利用する方法をいろいろと模索してはいるのですが、現時点では残念ながら費用や効果の面で有効な再利用方法がなく、状態の悪い服は処分するしかありません。そのため、現在は譲渡に適さない服をできる限り減らす方法を検討しています。ただ、皆様の善意の上で成り立っている回収ですので、回収する服の状態をこちらが指定するわけにもいきません。お客様が回収BOXの利用を遠慮すること無く、なおかつ状態の良い服の割合を増やせる方法を考えていく必要があると考えています。
店舗内
今後の活動予定や計画についてお聞かせください
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当社は、おかげさまで今年20周年を迎えました。その記念企画として、もっと多くの方に喜んでもらえるよう自治体や小学校・幼稚園に呼びかけて、こども服以外の衣類やぬいぐるみも回収して譲渡会を開こうと計画しております。従来のこども服の回収と譲渡に関しても、やり方を改善していく予定です。現在こども服の回収は店舗で随時行っていますが、一方で譲渡会はイベント扱いになっているため、イベントへの参加が難しい親御さんにこども服をお渡しする方法がありません。今後は大きな店舗の空きスペースを利用するなどして、回収だけではなく譲渡も随時利用できるように計画中です。また、回収した服の量を数値化して「どのくらい回収し、そのうち状態の良い服がどれだけあって、どのくらい譲渡した」といったように、活動の内容がより具体的に数値として見えるような方法も検討しています。
譲渡会のようす 譲渡会のようす
最後に、環境活動に取り組んでいる企業・取り組む予定の企業へアドバイスやメッセージをお願いいたします。
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資源には限りがありますので、次世代のこどもたちが困らず生きていける世の中にしていくため、環境や資源の問題はいまの大人たちが考えて行動しなくてはいけないと思います。小さな活動、無理なくできる活動からで構いませんので、協力してもらえたらありがたいです。ただ、SDGsや環境保全活動は一社でやろうとするとかなり大変なので、他の企業やグループ、協同組合などと協力して「みんなでやる」のがいいと思います。当社もクリーニング業務がありますので、回収や譲渡に多くの人や時間を割くわけにはいきませんが、他の企業と一緒に活動を行って役割分担をすることで無理なく活動を進めています。一社で行うと負担が大きいSDGsや環境保全活動ですが、他の企業と一緒に活動すればハードルもぐっと下がるのではないでしょうか。